- 妊娠中に飲んではいけないサプリはある?
- それぞれのサプリによる良い影響・悪い影響は?
- 妊活中に必要なサプリは?
妊娠中は日頃の食事や飲み物などに気を遣う方が多いと思いますが、この記事では「妊娠中に飲んではいけないサプリはあるのか?」をテーマにしながら様々な情報をご紹介していきます。
結論から先に伝えますが、いまのところ妊娠中に絶対飲んではいけないサプリというのはありません。ただし、妊娠初期~妊娠後期に掛けて摂取量に注意すべきサプリ(栄養素)はあります。
本来は母体や胎児に良い影響を与える栄養素でも、タイミングや摂取量によっては悪影響に繋がる恐れもあるということです。
ここでは妊活中~妊娠中に掛けてよく飲まれているサプリ(栄養素)のメリット・デメリットを詳しくまとめました。
すでに妊娠中の方、これから妊娠する可能性がある方は、ぜひこちらを参考にしていってください。
※当記事における各栄養素の推奨目安量・耐容上限量は「厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)」を基に記載しています。
妊娠中に飲んではいけないサプリは?
冒頭でも伝えた通り、妊娠中に飲んではいけないサプリというのはありません。
サプリは各栄養素をバランス良く摂取するのに優れたものと言えます。
例えば妊娠中の女性に必要な栄養素としては鉄分が挙げられますが、1日に必要な量の鉄分(10.5mg~16.0mg)をすべて食事から摂取するのは大変です。
どんなサプリでも「過剰に摂取しない」「食事とのバランスを考える」といったことを守れば、母子ともに良い影響を与えてくれるはずです。
サプリの中には含有成分が非常に高濃度の商品もあります。そのため、必ず1粒または1カプセル内に含まれている成分量をチェックしましょう。
妊娠初期~後期におけるサプリメントの影響
ここでは妊娠初期~後期にかけて、よく飲まれているサプリの種類とその影響をまとめてみました。
各サプリにどういった効果があるのかを知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。
サプリ(栄養素) | 妊婦の推奨摂取量(1日あたり) | 妊娠初期~後期における良い影響 |
---|---|---|
ビタミンA | 700µgRAE(レチノール活性当量) | ・胎児の目や皮膚細胞の正常化 ・妊娠後期は推奨量「+80µgRAE」 |
ビタミンD | 8.5µg | ・胎児の骨密度低下、成長の遅れを予防 ・流産率の低下 |
ビタミンE | 6.5mg | ・母体、胎児への直接的な影響はなし ・抗酸化作用による子宮などの老化予防 |
鉄分 | 10.5mg~16.0mg | ・母体の鉄欠乏性貧血や出産時の異常出血の予防 ・胎児の発育遅れや早産リスクを予防 |
葉酸 | 400㎍ | ・胎児の神経管閉鎖障害のリスク減少 ・妊娠初期段階に必要な栄養素 |
このうち、妊娠前からバランスよく摂取しておきたいのが鉄分と葉酸です。
鉄分と葉酸は妊娠初期段階から母子ともに必要となる栄養素なので、妊活中の女性はぜひ覚えておきましょう。(もちろん妊娠が発覚してから飲んでも効果はあります)
妊娠中に注意したいサプリの種類と摂取量
妊娠中に飲んではいけないサプリはありませんが「妊娠中に過剰摂取すると母子ともに悪影響を受ける可能性があるサプリ(栄養素)」は存在します。
以下では1日あたりの耐容上限量と過剰摂取した場合に考えられるマイナス面をまとめました。
サプリ(栄養素) | 妊婦の耐容上限量(1日あたり) | 過剰摂取による悪影響 |
---|---|---|
ビタミンA | 2,700µgRAE(レチノール活性当量) | 妊娠初期段階での過剰摂取で胎児の形態異常リスクが増加 |
ビタミンD | 100µg | 腎臓の障害、高カルシウム血症、軟組織の石灰化障害などのリスクが増加 |
ビタミンE | 650~700mg | 出血が止まりにくくなるリスクが増加 |
鉄分 | 40mg | 鉄中毒による下痢や嘔吐、肝障害のリスクが増加 |
葉酸 | 900㎍~1000㎍ | 胎児の喘息・アレルギー発症率の増加が噂される(いまのところ明確なデータなし) ※母体において特定の疾患が見つかりにくくなるリスク |
耐容上限量については「厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考にしていますが、体格や体質によっても必要な栄養素の量は若干変わるため、サプリを利用する際はできるだけ主治医の先生と話し合ってみてください。
次に各サプリ(栄養素)のメリット・デメリットを見ていきます。
妊娠中に注意したいサプリ①ビタミンA
ビタミンAは胎児の目や上皮細胞(皮膚)の分裂・成長に必要な栄養素です。
主に牛・豚・鶏のレバー、ウナギといった食材に多く含まれている栄養素であり、普段の食事でも摂取できます。
- 胎児の目や皮膚の成長に必要な栄養素
- 過剰摂取により奇形リスク(特に耳)が増加
ビタミンAは妊娠初期段階から適量の摂取が求められている栄養素のひとつです。
しかし、ビタミンAを摂り過ぎると胎児の奇形リスクが増すことも分かっています。
そのため、1日の摂取量を可能な限り計算し、適量を摂るようにしましょう。
妊娠中に注意したいサプリ②ビタミンD
ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける役割があります。
母体がビタミンD不足になると胎児に送るビタミンDの量も減り、骨の軟化や成長の遅れに繋がる恐れがあるため、適量の摂取が推奨されています。
- 胎児の骨の軟化や成長の遅れを予防、流産率の低下
- 過剰摂取により母体の腎障害リスクが増加
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種です。水溶性ビタミンと異なり、過剰に摂取した場合は体内に蓄積されていきます。
大量のビタミンDを身体が摂り込もうとすると肝臓や腎臓への負担が大きくなり、人によっては腎障害を引き起こしてしまうかもしれません。
また、そこまで重症化しなくとも不整脈の原因になるため、サプリを利用する際は容量をよく確認してください。
妊娠中に注意したいサプリ③ビタミンE
ビタミンEの特徴は血液をサラサラにしてくれるところです。そんなビタミンEには脂質の酸化抑制、悪玉コレステロールの抑制、血栓の予防といった効果があります。
よく妊活中に推奨される栄養素のひとつとなりますが、妊娠中においても体内の酸化ストレスを抑えるために必要な栄養素と言えます。
- 抗酸化作用が高く子宮や卵巣の酸化ストレス予防に効果的
- 過剰摂取により異常出血のリスクが増加(ただし極めて稀)
ただし、ビタミンEには過剰に摂取すると出血が止まりにくくなるといったデメリットがあります。
また、ビタミンEの過剰摂取が骨粗鬆症の原因となるといったデータもあるため、こちらも容量を守った上でサプリを利用しましょう。
過剰量のビタミン E と骨粗鬆症の関連を示す報告があったが、動物実験データであり、臨床データの裏付けがないことから、考慮しなかった。
引用:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020 年版)
妊娠中に注意したいサプリ④鉄分
鉄分は妊婦にとって非常に重要な栄養素のひとつです。
鉄分サプリや鉄剤には鉄欠乏性貧血の予防効果があり、さらに早産のリスクが下がるとも考えられています。
- 鉄欠乏性貧血の予防、早産リスクの低下
- 過剰摂取により肝障害や鉄中毒のリスク増加
しかし、鉄分を多く摂り過ぎると下痢や嘔吐などの鉄中毒症状が現れるケースもあります。
また、肝障害リスクや膵臓への負担増加といったマイナス面もあるため、鉄分サプリや鉄剤を飲む際は主治医と話して1日分の容量をしっかりと決めましょう。
妊娠中に注意したいサプリ⑤葉酸
葉酸は妊娠前から摂取しておくことが望ましいと考えられている栄養素です。
葉酸には胎児の神経管閉鎖障害リスクを下げる効果があります。
胎児の神経管が形成されるのは妊娠初期段階なので、あらかじめ葉酸を母体に蓄えておくことが重要です。
- 胎児の神経管閉鎖障害リスクが優位に減少
- 過剰摂取によりビタミンB12不足を原因とする病気の発見が遅れる可能性(母体)
なお、通常であれば葉酸の過剰摂取によって身体的被害は出ませんが、人によってはビタミンB12不足による神経系の病気が見つかりにくくなることもあります。
過剰症は認められていませんが、サプリメント等で過剰に摂取すると亜鉛の吸収阻害を起こす可能性があるほか、ビタミンB12欠乏による神経障害の発見が遅れる危険があります。
引用:大塚製薬|栄養教養学部 / カラダ整え学科 葉酸
妊娠前(妊活中)にサプリを飲むときの注意点や考え方
ここでは妊娠前(妊活中)の方がサプリを飲むときに注意してもらいたい点、またサプリを利用するときの考え方を動画で説明していきます。重要となるのは以下の2つです。
- 妊活中にサプリを飲む場合は先に腸内環境を整えること
- 妊活に必要な栄養素を考えた上でサプリを選ぶこと
身体が栄養素を吸収できる状態になっていないと、せっかくサプリを飲んでも無駄になってしまいます。
そのため、妊活中の女性はまず「腸内環境」を整えていきましょう。
- 女性は鉄を失いやすいためサプリで補給する方も多い
- 鉄分を補給するならまずは腸内環境を整えることが大事
- 腸内環境が悪い状態で鉄分を摂ると酸化ストレスや他の体調不良の原因となる可能性がある
手軽に腸内環境を整えたい場合は乳酸菌を試してみてください。
腸内環境が良い状態になれば、妊娠するために必要な栄養素が自然と身体に摂り込まれます。
また、腸と同様に肝臓の働きも重要なポイントとなりますので、以下の動画を参考にしてみましょう。
- ビタミンには水溶性と脂溶性の2種類がある
- 脂溶性ビタミンを効率よく摂り込むためには肝臓(胆油)の働きが重要
- 腸を健康にすることで栄養が吸収しやすくなる
どの臓器も大切ですが、妊活中の女性は特に腸と肝臓を意識してみてください。
その上で自分に必要な栄養素を考え、飲むサプリを選ぶということが大事になっていきます。
- サプリメントは摂取するときは「必要な栄養」を考える
- 抗酸化作用がある栄養素も大事
- 妊活中はビタミンD、ビタミンE、鉄分などが大切
こうした妊活中~妊娠中における身体のケア、サプリの飲み方などを提案しているのがファンクショナルマッサージ治療室となります。
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