2022年4月1日より公的医療保険の適用対象となった不妊治療。費用面でのハードルが下がったことにより、患者数も年々増加しています。
そんな中で、
「私も始めてみたいけど、成功しなかったらどうしよう。」
「不妊治療を行っているけれどなかなか成功しない…何か原因があるのかな」
といった不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、不妊治療(人工授精)の1周期あたりの成功率(※)は5〜10%。4周期以上行った累積成功率は40歳未満で約20%、40歳以上で10〜15%となっています。
この数値を見てより不安になった方もいるでしょう。ですが、安心してください。不妊治療には成功率を上げる秘訣があります。
この記事では、不妊治療の種類別・年齢別成功率の具体的な数値と、妊娠を叶えるために今すぐ出来る対策をご紹介します。
※この記事のデータ(数値)は全て「妊娠率」です。不妊治療における「成功率」と「妊娠率」は、同じ意味合いで使われることがありますが、厳密には異なります。成功率とは、出産に至るまでの様々なプロセス(受精・胚移植・妊娠・出産等)の成功率を指します。妊娠率とは、妊娠する確率のみを指します。今回は、読者の方々が理解しやすいよう「成功率」=「妊娠率」として記載しています。
不妊治療(人工授精)の成功率は40歳以上で約10〜15%
不妊治療には大きく分けて3つの種類があります。
①タイミング療法:排卵日を予測し、妊娠しやすい時期に性交を持つよう指導する方法。
②人工授精:採取した精子を洗浄・濃縮し、排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する方法。
③高度生殖医療
・体外受精:卵子を体外に取り出し、精子と受精させた後、受精卵(胚)を子宮に戻す方法。
・顕微授精:顕微鏡下で1個の精子を直接卵子に注入して受精させる方法。
それぞれ、年齢や体の状態、不妊の原因によって適切なステップが異なります。必要に応じて複数の方法を組み合わせたり、段階的に進めていくことが多いです。
では、それぞれの治療法の成功率を見てみましょう。
※この記事のデータ(数値)は全て「妊娠率」です。不妊治療における「成功率」と「妊娠率」は、同じ意味合いで使われることがありますが、厳密には異なります。成功率とは、出産に至るまでの様々なプロセス(受精・胚移植・妊娠・出産等)の成功率を指します。妊娠率とは、妊娠する確率のみを指します。今回は、読者の方々が理解しやすいよう「成功率」=「妊娠率」として記載しています。
※不妊治療における「1ヶ月」と「1周期」は、基本的に同じ意味で使用されます。1ヶ月は一般的な時間の単位で、約30日間を指します。不妊治療においては、月経の周期を指す場合が多いですが、必ずしも月経周期と一致するわけではありません。また、1周期は月経の開始から次の月経の開始までの期間を指します。通常、約28日(個人差があります)で、月経周期と同一の意味で使用されます。
1. タイミング療法の成功率

※出典 公益財団法人 日本産婦人科医会「栗林先生・杉山先生の開業医のための不妊ワンポイントレッスン 9.タイイミング 1.タイミング療法の妊娠率」図1.原因不明不妊における治療別の累積妊娠率
※上記グラフは出典先をもとに、1ヶ月を基準として成功率を表示してます。
不妊症の方の場合、1ヶ月目の成功率は約5%です。
では、上記グラフの青線をご覧ください。
経過観察6ヶ月で約50%(累計成功率)、24ヶ月で約60%(累計成功率)であることが見て分かります。
6ヶ月を超えると成功率が横ばいとなってくるため、およそ1年を目処に次の治療のステップ(人工授精や高度生殖医療)に移行するのが望ましいとされています。
2. 人工授精の成功率

※出典 公益財団法人 日本産婦人科医会「栗林先生・杉山先生の開業医のための不妊ワンポイントレッスン 10.人工治療 2.AIHの妊娠率」図1 年齢別AIH施行回数と累積妊娠率(%)
※上記グラフは出典先をもとに、1周期を基準として成功率を表示してます。
上記グラフをご覧ください。
1周期あたりの成功率は5〜10%。治療を4周期以上行った累積成功率は40歳未満で約20%、40歳以上で10〜15%となっています。
つまり、残りの80%以上の方々が人工授精では妊娠が難しいとされています。
また、妊娠が成功した方々の内88.0%が4周期以内に妊娠しているため、若い女性でも5周期以上続けてもわずか3〜5%しか妊娠を期待できません。
そのため、3〜4周期人工授精を行っても妊娠しない場合は高度生殖医療(体外受精・顕微授精)を検討すべきとされています。
3. 高度生殖医療(体外受精・顕微授精)の成功率

※出典 公益社団法人 日本産科婦人科学会「2021年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績(6ページ)」
※成功率(妊娠率)は青い線をご覧ください。
年齢 | 高度生殖医療(体外受精・顕微授精)の成功率 |
---|---|
20〜29 | 48.6% |
30〜32 | 47.5% |
33〜35 | 44.2% |
36〜38 | 39.1% |
39〜41 | 30.1% |
42〜44 | 17.1% |
45〜49 | 5.7% |
※出典 公益社団法人 日本産科婦人科学会「2021年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績(8ページ/総ET)」
こちらは、公益社団法人 日本産科婦人科学会の資料「2021年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」をもとに作成したグラフ及び表です。
成功率は(グラフ内は青線)、35歳までは緩やかに、35歳以降は急激に低下していることがみて分かります。
年齢とともに成功率が下がる4つの理由
不妊治療の成功率は年齢とともに低下します。
それには「卵子の数の低下」「卵子の質の低下」「病気のリスクの増加」「精子の質の低下」が関係しているのです。
1. 卵子の数が低下するから
女性は生まれた時から卵子を持っていますが、その後新たに卵子が作られることはありません。
卵子の数は、出生時に約100万〜200万個、20代で約10万個、30代前半で約7〜8万個、40代前半には約1万個未満と、20代後半から徐々に、そして30代後半からは急激に減少していきます。
2. 卵子の質が低下するから
卵子の「質」とは、染色体の正常性や細胞エネルギーの代謝能力、受精・分裂・着床する力などを指します。
低下の原因としては、加齢による細胞の劣化、酸化ストレスの蓄積、喫煙や飲酒など、複数の要因が関係しています。
3. 妊娠を妨げる病気にかかりやすくなるから
代表的なものに子宮筋腫や子宮内膜症があり、着床や排卵に悪影響を及ぼします。
また、卵管の癒着や閉塞、ホルモン異常、糖尿病や高血圧など生活習慣病も妊娠の影響を与えるため、加齢に伴う健康管理が重要です。
4. 精子の質が低下するから
女性ほど影響は大きくありませんが、男性側の加齢が原因ということもあります。
男性も年齢とともに精子の質(運動率や形態、DNAの損傷率など)が低下します。
不妊は女性だけの問題でなく、カップルの問題として捉えることが大切なのです。
妊娠を叶えるために大切な5つのこと
1. 早めの対策
日本産婦人科学会では、避妊をせずに1年が経過しても妊娠に至らないことを「不妊症」と定義しています。
しかし、年齢的な問題で時間をかけられない場合や、妊娠を妨げる病気が原因という可能性もあるため、必ずしも1年が経過するのを待つ必要はありません。
出来る限り早く不妊の原因を検査し、安心を得ることが大切です。
2. 適度な運動を心掛ける
適度な運動は血流を改善し、卵巣や子宮への供給を促進します。
また、ホルモンバランスが整いやすくなり、排卵や月経周期の安定にも繋がります。
さらに、ストレスの軽減や生活習慣病の抑制にも役立つため、不妊治療の成功が期待されます。
ウォーキングやヨガなど、継続しやすい運動で無理なく日常に取り入れましょう。
3. 体を温める
体が冷えることでホルモンバランスの乱れや排卵障害に繋がる可能性が高くなります。
毎日湯船に浸かる、水を飲む時は常温にする、生姜・ねぎ・根菜類などの食材を取るなど、普段から意識して体を温めていきましょう。
4. ストレスを溜め込まない
ストレスはホルモンバランスを崩して生理不順を引き起こすなど、妊活を行う上で最も敵となる存在です。
ストレスを溜め込まないためにも、無理はせず、「楽しい」と思えることに時間を使いましょう。
5. バランスの良い食事をとる
バランスの良い食事は、卵子の質の低下を抑制します。
主食(エネルギー源:ごはん・パンなど)、主菜(タンパク質:肉・魚・大豆など)、副菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維:野菜、きのこ、海藻など)を1日の中でバランスよく摂取しましょう。
また、朝食を抜いてしまう方が多いかと思いますが、1日3食を心がけることも大切です。
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