妊娠中期や前後にビタミンAを摂り過ぎるのは危険?推奨量や上限量を詳しく解説

妊娠中期ビタミンA
  • 妊娠中期に摂取していいビタミンAの量は?
  • 妊娠初期や後期のビタミンA摂取量は?
  • ビタミンAを過剰摂取するとどんな危険がある?

当記事では上記の疑問を解消するために、妊娠中におけるビタミンAの必要性と過剰摂取のリスクを説明していきます。

ビタミンAの役割は目や耳の機能維持、皮膚や粘膜の形成、成長の促進などです。また、免疫力の調整機能をサポートする効果もあります。

妊娠中に推奨されているビタミンAの摂取量(1日あたり)は「650µgRAE~700µgRAE(妊娠後期は730µgRAE~780µgRAE)」です。耐容上限量はいずれにしても「2,700µgRAE」となっています。

ビタミンAは母子ともに必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると胎児の発育に悪影響を与える危険性があります。

妊娠を希望する方は、妊活の段階からビタミンAの摂取量に注意しなければなりませんので、ぜひこちらの内容をご覧になっておいてください。

目次

妊娠中に必要なビタミンAの効果

ビタミンAは妊娠中に摂取推奨量が変化する栄養素のひとつです。このことからも母体や胎児に与える影響が大きい栄養素であることが分かります。

ビタミンAの効果
  • 胎児の発育に必要な栄養素(免疫力の調整機能)
  • 視覚や聴覚の機能維持(タンパク質の合成)
  • 皮膚や粘膜などの形成

お腹の中の赤ちゃんが健やかに成長するためにはビタミンAの存在が欠かせません。母体のビタミンAが不足していると早産、低体重児、感染症リスクなどの危険性が増えてしまいます。

こうした理由から、妊娠中の女性には適切な量のビタミンA摂取が求められています。

なお、ビタミンAは「脂溶性」のビタミンです。水溶性ビタミンとは異なり、摂取した栄養が体内に留まりやすい性質を持っています。

妊婦がビタミンAの過剰摂取に注意すべき理由

妊娠初期(3か月ごろ)までの間にビタミンAを摂り過ぎると胎児の先天奇形リスクが上がります。これが「妊婦はビタミンAの摂取量に注意が必要」と言われる理由です。

ビタミン A は過剰摂取により先天奇形が増加することが報告されている

引用:厚生労働省|妊娠初期

ビタミンAには目の粘膜や皮膚などの成長を支える役割があります。細胞の分化に関わる栄養素と言えますが、胎児の身体に過剰なビタミンAが供給されると目・耳(顔周り)の形成不全が起こり、結果として先天奇形に繋がると考えられています。

そのため、妊娠を計画している段階(妊活中)からビタミンAの摂取量には気を付けておきましょう。

妊娠の可能性がある時期から注意しておかないと、気付かないうちにビタミンAの過剰摂取が起こり得ます。

一般的に妊娠が分かるのは4~5週目と言われていますが、この段階でビタミンAを摂り過ぎていると胎児に悪影響を与えるかもしれないということです。

なお、特に注意が必要なのはサプリメントを利用している場合です。

ビタミンAは脂溶性ビタミンの1つであるため体内に蓄積しやすく、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。

引用:東京かつしか赤十字母子医療センター|妊娠中のサプリメントの利用について

水溶性ビタミンの場合は「摂り過ぎた分を尿と共に排出する」といった形で調整できますが、脂溶性のビタミンAは身体に蓄積されていきます。

食事から十分なビタミンAを摂取している状態でサプリメントを追加すれば簡単に耐容上限量をオーバーしますので、妊娠を希望している方や妊娠中の方はビタミンAの摂取量に気を付けてください。

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妊娠中期や前後におけるビタミンAの推奨量・耐容上限量

ここでは妊娠初期・中期・後期におけるビタミンAの摂取推奨量・耐容上限量を解説していきます。

妊娠の段階推奨量耐容上限量
妊娠初期650µgRAE~700µgRAE2,700µgRAE
妊娠中期650µgRAE~700µgRAE2,700µgRAE
妊娠後期730µgRAE~780µgRAE2,700µgRAE

なお、上表は「厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020 年版)」に掲載されているビタミンAの項目を参考にしています。

以下では、各妊娠期間でのビタミンA摂取量や注意点を分かりやすくまとめましたので、ぜひご覧ください。

妊娠初期におけるビタミンAの摂取量

妊娠初期(妊娠13週6日まで)におけるビタミンAの摂取量は、1日あたり「650µgRAE~700µgRAE(推奨量)」となっています。(18歳~29歳が650µgRAE、30歳~49歳が700µgRAE)

年齢に関わらず耐容上限量は「2,700µgRAE」です。

特に注意が必要なのは妊娠発覚までの期間におけるビタミンAの摂取量となりますので、妊娠を目的とした性行為後(または体外受精の移植後)は食事やサプリメントの量に気を付けましょう。

妊娠中期におけるビタミンAの摂取量

妊娠中期(妊娠27週6日まで)におけるビタミンAの推奨量は初期のころと変わりません。耐容上限量も同じなので、それぞれ「650µgRAE~700µgRAE(推奨量)」「2,700µgRAE(上限量)」となります。

この時期はすでに妊娠が分かっているため、サプリメントによる過剰摂取のリスクは低いと言えるかもしれません。

ただし、普段から口にする食事の中にも多くのビタミンAが含まれていますので、引き続きバランスを取ることが大切です。

妊娠後期におけるビタミンAの摂取量

妊娠後期(28週以降)におけるビタミンAの摂取量は、1日あたり730µgRAE~780µgRAE(推奨量)」となっています。(18歳~29歳が730µgRAE、30歳~49歳が780µgRAE)

この時期は胎児が必要とするビタミンAの量が増えるため、必然的に妊婦が摂取すべき推奨量も上がります。

ただし、耐容上限量は変わらず「2,700µgRAE」です。推奨量の上がり幅もそれほど大きくないため、ビタミンAの摂取量を過度に増やす必要はありません。

妊活中・妊娠前のビタミンA摂取量やサプリメントについて

妊活中(妊娠前)におけるビタミンAの摂取目安量は「450µgRAE~500µgRAE」です。

上記は成人女性の「推定平均必要量」であり、推奨量に関しては妊婦(初期~中期)と同じ「650µgRAE~700µgRAE」となっています。

とはいえ、ビタミンAは体内に蓄積しやすい脂溶性のビタミンです。体重によっても摂取すべき量が変わってくるため、妊活中の場合は目安量を参考にした方が安心と言えます。

特に妊活中からビタミンAサプリを利用している方は目安量(450µgRAE~500µgRAE)をよく覚えておきましょう。

ビタミンAは「食事から摂りやすいビタミン」です。普段の食生活によってはサプリメントを利用しなくても1日の目安量を満たすことがあります。

なお、以下の動画では妊活女性が知っておきたいサプリメントや栄養素の情報を紹介しています。ビタミンAのほかに大事な栄養素も分かりますので、ぜひご覧になってみてください。

動画のポイント
  • 妊活女性にはビタミンAとビタミンDがおすすめ(免疫の調節機能)
  • 酸化ストレスの抑制にはビタミンCとビタミンE
  • 腸内環境や子宮内フローラを整えるには乳酸菌

単一のサプリメントだけでなく、それぞれの栄養素が効果を発揮しやすくなる組み合わせを考えることも大切です。ビタミンAはビタミンDとの相性が良いので、必要に応じて利用を検討しましょう。

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妊娠中期のビタミンA摂取に関してよくある質問

ここでは「妊娠中期のビタミンA摂取」に関してよくある質問をまとめました。

ビタミンAが多く含まれている食品、ビタミンAを摂取すべき時期などを知りたい方は、こちらを参考にしてください。

ビタミンAが多く含まれる食べ物は?

ビタミンAが多く含まれる主な食べ物は以下の通りです。

ビタミンA含有量が多い食品・一例
  • 牛・豚・鶏のレバー
  • あん肝
  • 海苔
  • ニンジン
  • モロヘイヤ
  • ほうれん草

ビタミンAが豊富な食品の代表格がレバーと鰻です。そのため、妊娠前~妊娠中期にかけては摂取量に配慮する必要があります。

なお、一般的なウナギの1人前の量は80g~100g、ビタミンAの含有量は「1,500~2,000µgRAE」です。1日あたりの摂取推奨量(650µgRAE~700µgRAE)から考えると、1人前の半分程度(40g~50g)が適量と言えます。

妊娠中に鰻やレバーを食べ過ぎた場合はどうなる?

前述の通り、妊娠中にビタミンAの含有量が多い鰻やレバーを食べ過ぎると胎児の先天奇形リスクが上がります。

例えば焼き鳥のレバー(約30グラム)を1本食べると、ビタミンAを4200マイクログラムRAE、3分の2本でも2800マイクログラムマイクログラムRAEほど摂取することとなり、これだけで1日当たりの耐容上限量を超えてしまう。

引用:産経新聞|妊娠中にレバー食べても大丈夫? ビタミンAは過剰も不足も注意して

また、母体においても頭痛・肌荒れ・皮膚の乾燥・食欲不振・脱毛症などの症状が現れる可能性があるため、過度の摂取は控えましょう。

とはいえ、仮に1人前の鰻(1,500~2,000µgRAE)や焼き鳥のレバー1本(約4,000µgRAE)を1回だけ食べたくらいでは過剰摂取になりません。

レバーには妊婦に必要な鉄分も含まれているため、妊娠の周期や栄養素のバランスを考えながら摂取することが大切と言えます。

いつからいつまでビタミンAの摂取量に気を付ける?

ビタミンAの摂取量に注意したいのは妊娠前の時期から出産までの間です。特に妊娠初期の段階でビタミンAの摂取量が多いと胎児に悪影響を与えやすいので、妊活中からビタミンAの摂取量を調整しておきましょう。

なお、出産後の授乳婦に関しては非妊娠時の推奨量に加えて「+450 µgRAE」となっています。

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妊娠中期や前後の期間はビタミンAの摂取量に気を付ける

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妊娠中期や前後に摂取するビタミンAの推奨量・耐容上限量について詳しく説明してきました。

この記事のまとめ
  • 妊娠初期・妊娠中期に推奨されるビタミンAの摂取量は「650µgRAE~700µgRAE」
  • 妊娠後期は「730µgRAE~780µgRAE」
  • 耐容上限量は「2,700µgRAE」

ビタミンAは胎児の発育に欠かせない栄養素であるものの、過剰摂取すると先天奇形が生じるリスクが上がってしまいます。そのため、妊娠する前から摂取量を調整することが大切です。

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